3ボール、2ストライクでフルカウント。
「つぎはどのボールにしようか?フォアボールはイヤだし、長打も怖い…」
「野球のフルカウントでの最適な配球は一体なんなんだ!」
野球のフルカウントでの配球はバッテリーにとって永遠の課題であり、
一生答えの見つからない難題だと思います。
本記事ではキャッチャーを15年以上続けてきた私が今の時点でたどり着いた、
フルカウントの配球の考え方を解説していきます。
配球やリードに絶対的な正解はないです。
どれだけ良い配球をしてても打たれたら意味がないですし、
素晴らしいリードだと評価されてても試合に負けたら関係ありません。
でも、何も考えずに配球を組み立てたらキャッチャーの存在意義はなくなります。
キャッチャーはバッターを打ち取れる確率の高いリードをして、
チームを勝利に導くのが最大の役割。
フルカウントの配球はその1つですし、状況によっては試合の勝敗を分けるポイントなので、
キャッチャーは4つのポイントを意識して判断しましょう!
コンテンツ
野球のフルカウントはバッター有利?バッテリー有利?
まず野球のフルカウントはバッター有利なのかバッテリー有利なのか?
これは非常に判断が難しいところです。
バッターの心理状況や試合の展開、フルカウントになるまでの配球やピッチャーの調子など、
これらによってバッター有利になるのか、バッテリー有利になるのか変わるからです。
ただ、それらを一切無視して考えるならバッター有利でしょう。
ピッチャーはボールを投げたらフォアボールになるので、
厳しいコースには投げにくいカウントになります。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2020/06/468348.jpg)
そう考えればフルカウントはバッター有利にカウントになります。
フルカウントの配球の考え方
条件を無視すればフルカウントはバッター有利なカウントですが、
条件によってはバッテリー有利なカウントにもなります。
では、どのようにしてフルカウントの配球を考えるべきなのか?
この4つのポイントを考えてみて、
「打たれてもOKなケース」か「打たれたらNGなケース」かを決めましょう。
打たれてもOKなケースならフルカウントの次のボールはど真ん中のストレート、
打たれたらNGなケースなら厳しいボールを要求するといいですね!
試合の状況を考える
フルカウントで次の配球を考えるときの1つ目のポイントは、試合状況です。
点差
ランナーの有無
打順
試合の流れ
この3つのポイントをまずは考えます。
点差
4点以上の差でチームが勝ってる場合なら打たれてもOKなケースなので、
フルカウントになったらど真ん中のストレートにしましょう。
フォアボールだと確実に出塁されてしまいますが、
ヒッティングなら5割以上の確率で打ち取れる可能性がありますよね。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2020/06/468348.jpg)
ど真ん中でも失敗の7回になる可能性があるよね。
同点や点差が少ない場合には、打たれない配球を組み立てましょう!
ランナーの有無
つぎはランナーの有無です。
ランナー満塁でも4点以上の差でチームが勝ってるなら、
ホームランを打たれても同点なのでバッターに打たせたほうがいいです。
打ち損じてくれる可能性にかけたほうがいいと思います。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2023/06/shutterstock_2271168067-300x200.jpg)
同点や点差が少ない場合には、ケースバイケースです。
2アウトでランナーなしなら打たれても問題ないですし、
0アウトでランナー2塁なら打たれない配球を組み立てましょう。
打順
3つ目は打順です。
上位打線やクリーンナップの場合、
フルカウントでど真ん中のストレートなら打たれる可能性は高いです。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2020/06/468348.jpg)
上位打線やクリーンナップなんだよね!
打たれても良いケースならど真ん中のストレートでOKですが、
打たれたらマズイケースならフォアボールも頭に入れるといいですね。
逆に下位打線なら点差があってもなくても、
ランナーがいてもいなくてもど真ん中のストレートはありだと思います。
力んで打ち損じてくれたり、弱気になって手を出さなかったりします。
試合の流れ
試合状況を考えるときの最後のポイントは試合の流れです。
4点差以上あっても試合の展開が相手チームの流れになりつつあるなら、
打たれたら完全に流れを渡してしまいます。
点差があっても打たれない配球を組み立てましょう!
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2023/06/shutterstock_2271168067-300x200.jpg)
逆に点差は少なくても自チームに流れがあったり、
相手ピッチャーを打ち崩せる自信があるなら打たれてもOKです。
このようなケースならど真ん中のストレートでもバッターが打ち損じてくれたり、
自チーム内に相手ピッチャーを打ち崩せる雰囲気があるなら流れにはそこまで影響しません。
「試合の流れがどっちにあるのか?」
フルカウントの配球はそこも考えましょう!
バッターの様子を見る
フルカウントで次の配球を考えるときの2つ目のポイントはバッターの様子です。
焦ってる
冷静
バッターの顔色や仕草、足などを見て観察しましょう!
焦ってるバッターなら多少のボール球でも手を出してくれるので、
逆にど真ん中のストレートは打たれる可能性は高いです。
冷静なバッターならボール球には手を出してくれないので、
打たせるか、打たせないかは状況によって判断する必要があります。
フルカウントになるまでの配球を振り返る
つぎのフルカウントで次の配球を考えるときのポイントは、
フルカウントになるまでの配球を振り返ることです。
ボール先行からの連続でストライク
フルカウントになる前の投球がストライク
ストライク先行からの連続でボール
フルカウントになる前の投球がボール
カウント3ボールから連続してストライクをとって3ボール2ストライク、
3ボール1ストライクからストライクをとって3ボール2ストライク。
このようにフルカウントになる前の投球がストライクなら、
どちらかというとバッテリーが有利です。
逆に2ストライクから連続で3ボール、2ボール2ストライクからボールで3ボール2ストライク、
このような状況ならバッターが有利です。
ボールが続けばバッターはフォアボールがあるかもと思いますし、
ピッチャーはフォアボールになるかもとネガティブになります。
一方でストライクが続けばバッターは追い込まれた感覚になりますし、
ピッチャーはこのまま勝負すれば打ち取れるかもとポジティブになります。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2023/06/shutterstock_2271168067-300x200.jpg)
フルカウントになるまでの配球がピッチャー有利なら、
バッターは多少のボール球でも手を出してくれますし、
ピッチャーに難しいボールを要求しても応えてくれる可能性は高くなります。
逆にバッター有利な配球の展開になってるなら、
打たれてもOKなケースなのかどうかを考えて次のボールを決めましょう!
ピッチャーの調子を考慮する
最後のフルカウントで次の配球を考えるときのポイントは、ピッチャーの調子です。
ストレートの調子
変化球の調子
試合の流れのなかの調子
この3つのポイントでピッチャーの調子を考慮しましょう。
ストレートの調子が良いなら、ど真ん中のストレートでも打ち取れますし、
逆にストレートの調子が悪いなら変化球を要求したほうがいいかもしれません。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2020/06/468348.jpg)
その辺りも考えてフルカウントの次のボールを要求したいですね!
フルカウントでフォアボールはNGなのか?
野球にはフォアボールが勿体無いという考え方があります。
たしかに10回中7回は打ち損じるバッターに対して、
無条件で出塁を許すのは勿体無いと思います。
でも、フルカウントでのフォアボールがすべてNGではありません。
バッテリーが攻めたうえでのフォアボールならOKです。
![](https://crazy-for-baseball.com/wp-content/uploads/2023/06/shutterstock_2271168067-300x200.jpg)
逆に2ストライクと追い込んでから明らかなボール球が3つ続くのは、
この上なく勿体無いです。
フォアボールがNGになるかならないかは、
あくまでもフォアボールにするまでの投球プロセスによります。
フォアボールは絶対にNGと決めつけて、頭が固くならないようにリードしましょう!
キャッチャーのリードの基本はこちらで解説してます。
キャッチャーは状況で判断しよう!
フルカウントの配球の考え方を解説しました。
試合の状況を考える
バッターの様子を見る
フルカウントになるまでの配球を振り返る
ピッチャーの調子を考慮する
この4つのポイントを考えて、つぎのボールを要求しましょう!
細かいケースによって判断が変わるのですが、
結局は「打たれてもOK」か「打たれたらNG」なのかです。
打たれてもOKなケースならフルカウントの次のボールはど真ん中のストレート、
打たれたらNGなケースなら厳しいボールを要求するといいですね!
キャッチャーのリードに正解はないですし、抑えたらOKの世界でもあります。
気軽に考えつつも、ちゃんと考えて、
意図や根拠を持ってピッチャーに次のボールを要求したいですね!