3ボール、2ストライクでフルカウント。

「つぎはどのボールにしようか?フォアボールはイヤだし、長打も怖い…」

「野球のフルカウントでの最適な配球は一体なんなんだ!」

野球のフルカウントでの配球はバッテリーにとって永遠の課題であり、
一生答えの見つからない難題だと思います。

本記事ではキャッチャーを15年以上続けてきた私が今の時点でたどり着いた、
フルカウントの配球の考え方を解説していきます。

配球やリードに絶対的な正解はないです。

どれだけ良い配球をしてても打たれたら意味がないですし、
素晴らしいリードだと評価されてても試合に負けたら関係ありません。

でも、何も考えずに配球を組み立てたらキャッチャーの存在意義はなくなります。

キャッチャーはバッターを打ち取れる確率の高いリードをして、
チームを勝利に導くのが最大の役割。

フルカウントの配球はその1つですし、状況によっては試合の勝敗を分けるポイントなので、
キャッチャーは4つのポイントを意識して判断しましょう!

野球のフルカウントはバッター有利?バッテリー有利?

まず野球のフルカウントはバッター有利なのかバッテリー有利なのか?

これは非常に判断が難しいところです。

バッターの心理状況や試合の展開、フルカウントになるまでの配球やピッチャーの調子など、
これらによってバッター有利になるのか、バッテリー有利になるのか変わるからです。

ただ、それらを一切無視して考えるならバッター有利でしょう。

ピッチャーはボールを投げたらフォアボールになるので、
厳しいコースには投げにくいカウントになります。

バッターは真ん中付近のボールを待てばいいよね!

 

そう考えればフルカウントはバッター有利にカウントになります。

フルカウントの配球の考え方

条件を無視すればフルカウントはバッター有利なカウントですが、
条件によってはバッテリー有利なカウントにもなります。

では、どのようにしてフルカウントの配球を考えるべきなのか?

この4つのポイントを考えてみて、
打たれてもOKなケース」か「打たれたらNGなケース」かを決めましょう。

打たれてもOKなケースならフルカウントの次のボールはど真ん中のストレート、
打たれたらNGなケースなら厳しいボールを要求するといいですね!

試合の状況を考える

フルカウントで次の配球を考えるときの1つ目のポイントは、試合状況です。

点差

ランナーの有無

打順

試合の流れ

この3つのポイントをまずは考えます。

点差

4点以上の差でチームが勝ってる場合なら打たれてもOKなケースなので、
フルカウントになったらど真ん中のストレートにしましょう。

フォアボールだと確実に出塁されてしまいますが、
ヒッティングなら5割以上の確率で打ち取れる可能性がありますよね。

バッターは10回中3回打てれば好打者。
ど真ん中でも失敗の7回になる可能性があるよね。

 

同点や点差が少ない場合には、打たれない配球を組み立てましょう!

ランナーの有無

つぎはランナーの有無です。

ランナー満塁でも4点以上の差でチームが勝ってるなら、
ホームランを打たれても同点なのでバッターに打たせたほうがいいです。

フォアボールにして試合の流れを徐々に渡すよりも、
打ち損じてくれる可能性にかけたほうがいいと思います。

 

同点や点差が少ない場合には、ケースバイケースです。

2アウトでランナーなしなら打たれても問題ないですし、
0アウトでランナー2塁なら打たれない配球を組み立てましょう。

打順

3つ目は打順です。

上位打線やクリーンナップの場合、
フルカウントでど真ん中のストレートなら打たれる可能性は高いです。

ど真ん中ならミスショットしないから、
上位打線やクリーンナップなんだよね!

 

打たれても良いケースならど真ん中のストレートでOKですが、
打たれたらマズイケースならフォアボールも頭に入れるといいですね。

逆に下位打線なら点差があってもなくても、
ランナーがいてもいなくてもど真ん中のストレートはありだと思います。

力んで打ち損じてくれたり、弱気になって手を出さなかったりします。

試合の流れ

試合状況を考えるときの最後のポイントは試合の流れです。

4点差以上あっても試合の展開が相手チームの流れになりつつあるなら、
打たれたら完全に流れを渡してしまいます。

相手チームに流れがいきそうなら、
点差があっても打たれない配球を組み立てましょう!

 

逆に点差は少なくても自チームに流れがあったり、
相手ピッチャーを打ち崩せる自信があるなら打たれてもOKです。

このようなケースならど真ん中のストレートでもバッターが打ち損じてくれたり、
自チーム内に相手ピッチャーを打ち崩せる雰囲気があるなら流れにはそこまで影響しません。

「試合の流れがどっちにあるのか?」

フルカウントの配球はそこも考えましょう!

バッターの様子を見る

フルカウントで次の配球を考えるときの2つ目のポイントはバッターの様子です。

焦ってる

冷静

バッターの顔色や仕草、足などを見て観察しましょう!

焦ってるバッターなら多少のボール球でも手を出してくれるので、
逆にど真ん中のストレートは打たれる可能性は高いです。

冷静なバッターならボール球には手を出してくれないので、
打たせるか、打たせないかは状況によって判断する必要があります。

フルカウントになるまでの配球を振り返る

つぎのフルカウントで次の配球を考えるときのポイントは、
フルカウントになるまでの配球を振り返ることです。

ボール先行からの連続でストライク

フルカウントになる前の投球がストライク

ストライク先行からの連続でボール

フルカウントになる前の投球がボール

カウント3ボールから連続してストライクをとって3ボール2ストライク、
3ボール1ストライクからストライクをとって3ボール2ストライク。

このようにフルカウントになる前の投球がストライクなら、
どちらかというとバッテリーが有利です。

逆に2ストライクから連続で3ボール、2ボール2ストライクからボールで3ボール2ストライク、
このような状況ならバッターが有利です。

ボールが続けばバッターはフォアボールがあるかもと思いますし、
ピッチャーはフォアボールになるかもとネガティブになります。

一方でストライクが続けばバッターは追い込まれた感覚になりますし、
ピッチャーはこのまま勝負すれば打ち取れるかもとポジティブになります。

ここの有利とは「精神的な部分」です。

 

フルカウントになるまでの配球がピッチャー有利なら、
バッターは多少のボール球でも手を出してくれますし、
ピッチャーに難しいボールを要求しても応えてくれる可能性は高くなります。

逆にバッター有利な配球の展開になってるなら、
打たれてもOKなケースなのかどうかを考えて次のボールを決めましょう!

ピッチャーの調子を考慮する

最後のフルカウントで次の配球を考えるときのポイントは、ピッチャーの調子です。

ストレートの調子

変化球の調子

試合の流れのなかの調子

この3つのポイントでピッチャーの調子を考慮しましょう。

ストレートの調子が良いなら、ど真ん中のストレートでも打ち取れますし、
逆にストレートの調子が悪いなら変化球を要求したほうがいいかもしれません。

1イニングごとでピッチャーの調子は変わったりするよね!

 

その辺りも考えてフルカウントの次のボールを要求したいですね!

フルカウントでフォアボールはNGなのか?

野球にはフォアボールが勿体無いという考え方があります。

たしかに10回中7回は打ち損じるバッターに対して、
無条件で出塁を許すのは勿体無いと思います。

でも、フルカウントでのフォアボールがすべてNGではありません。

バッテリーが攻めたうえでのフォアボールならOKです。

試合の流れは変わりませんからね。

 

逆に2ストライクと追い込んでから明らかなボール球が3つ続くのは、
この上なく勿体無いです。

フォアボールがNGになるかならないかは、
あくまでもフォアボールにするまでの投球プロセスによります。

フォアボールは絶対にNGと決めつけて、頭が固くならないようにリードしましょう!

 

キャッチャーのリードの基本はこちらで解説してます。

キャッチャーは状況で判断しよう!

フルカウントの配球の考え方を解説しました。

試合の状況を考える

バッターの様子を見る

フルカウントになるまでの配球を振り返る

ピッチャーの調子を考慮する

この4つのポイントを考えて、つぎのボールを要求しましょう!

細かいケースによって判断が変わるのですが、
結局は「打たれてもOK」か「打たれたらNG」なのかです。

打たれてもOKなケースならフルカウントの次のボールはど真ん中のストレート、
打たれたらNGなケースなら厳しいボールを要求するといいですね!

キャッチャーのリードに正解はないですし、抑えたらOKの世界でもあります。

気軽に考えつつも、ちゃんと考えて、
意図や根拠を持ってピッチャーに次のボールを要求したいですね!

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