日本球界が誇る名捕手へのステップを着実に上がってる甲斐拓也選手。

代名詞の「甲斐キャノン」ばかり注目されてますが、
ブロッキング技術も相当なレベルだと思ってます。

アバウトなコントロールで150キロ以上を連発し、
バッターが振っても当たらない変化球を持ってる投手陣なのに、
後逸(パスボール)は130試合中8つだけですからね。

二塁送球の技術だけではなく、ブロッキング技術も至高のレベルです。

そんな甲斐拓也選手が巷で「リードが下手くそだ!」と言われてますが、
僕はまったくそう思えないんですよね。

むしろ、本物のリードをしてるのが甲斐拓也選手だと思ってます。

今回は、そのあたりの話をつらつらと書いていきます。

野球のリードの上手い、下手とは?

まず野球のリードが上手い、下手ってなんだと思いますか?

相手バッターを抑えたら良いリードで、打たれたら悪いリードなんでしょうか?

そんな単純な話ではありませんよね。

ゲームみたいにピッチャーが構えたところに100%投げられるわけではないですし、
リード関係なくピッチャーのボールをバッターが打てないケースもあります。

小学生相手に150キロのボールを投げれば、そうは打たれてません。

また、高校野球のように一発勝負のトーナメント戦と
大学野球やプロ野球のようなリーグ戦だとリードの評価基準は変わります。

じゃあ、何を基準にリードの上手い下手を判断するのか?

それは「相手チームの得点を最小限に抑えられたか?」なんだと思います。

あのバッターに打たれたとか、このケースであのリードは最悪だとか、
1つ1つのシーンでリードの良し悪しを評価できないんですよ。

もし、それを評価基準にしたら打たれた時点でリードが下手くそとなりますし、
いつもいつも完璧なリードをできるキャッチャーなんていません。

打率10割バッターや防御率0点ピッチャーがいないのと同じ理由です。

リードが頭の作業だからとはいえ疲れてたり、テンパってたり、
身体に痛みがあって気が散ってたら、時にはおかしなリードをしてしまいます。

逆にバッティングの調子が良ければリードも上手くいくことが多いです。

つまり、リードにも調子の良し悪しがあるんですよね!

なので、どんなピッチャーであれ、相手チームの得点を最小限に抑え、
自チームを勝利させることができれば上手いリードなんです。

それが故に、リードは結果論だと言われてます。

甲斐拓也選手のリードは下手じゃない!

1つ1つの場面ではなく、1試合のトータルで、
もしくは複数の試合でリードの上手い下手は判断するべきです。

そう考えると甲斐拓也選手のリードは決して下手ではないですよね!

ピッチャー陣そのものの強さも関係してますが、
2020年のチーム防御率2.92は12球団で1番の成績です。

DH制のパリーグで、この防御率は脅威的ですよね!

また被本塁打83も12球団で1番少ないので、
相手バッターの狙い球を上手く外せてることになります。

各シーンで見ると甲斐拓也選手のリードには「?」があるかもですが、
トータル的に考えると決してリードが下手ではないことがわかりますよね。

また、私は試合を直接は見てないんですけど、
ペナントレース中に甲斐拓也選手のアウトコース中心のリードが話題になってました。

「なぜ、アウトコースばかりなんだ?」と。

これはリードではなく、配球的な考え方なんですよね!

アウトコース低めってバッターから一番遠いボールなので、
ストライクゾーンの9分割のなかで一番打たれないコースなんですよ。

なので困ったときにはアウトコース低めが配球の鉄則になってます。

つまり、野球のセオリーに沿った配球をしてるだけなので、
甲斐拓也選手のリードが上手いとか下手とか関係ないんですよね!

 

配球とリードの違いはこちらで詳しく解説してます。

甲斐拓也選手こそ本物のリードをしてる

ソフトバンクが4年連続で日本一に輝いた2020年。

私は全4試合をテレビの前で最初から最後まで見ていたんですけど、
甲斐拓也選手こそ本物のリードをしてるなぁと強く感じました。

第1戦目では千賀選手の速いストレートでインコースを意識させ、
第2戦目では石川選手のテンポの速さを活かし、バッターに考える隙を与えませんでした。

そして第3戦目は巨人がインコースやストレートを強く意識してたので、
それを活かして変化球とストレートのコンビネーションで上手くかわしてたんですよね。

僕は思わず唸ってしまいました。

正直な話、第3戦目の甲斐拓也選手のリードをみて、
どっちにしてもソフトバンクが勝つんだろうなと確信してました。

というのも、甲斐拓也選手が理想的なリードをしてたからです。

ストレートを意識させ変化球でかわすのもそうなんですけど、
一番の大きな理由は巨人打線に迷いが生まれてたからです。

巨人打線は1戦目と2戦目で千賀選手と石川選手のストレートを打てなかったから、
速いストレートを打ち返さないと日本シリーズで勝てないという頭になります。

実際に第3戦目の試合前に坂本勇人選手は速いボールに目を慣らそうと、
手を使って目のトレーニングをしてました。

ここからがポイントです!

甲斐拓也選手は第3戦目の巨人打線を見て、
ストレートを強く意識してると感じ、ムーア選手には要所で変化球を要求したんです。

これでもう巨人打線の頭はぐちゃぐちゃです。

ストレートを待ってたら変化球に対応できないですし、
変化球を待ってたらストレートに対応できませんからね。

「相手チームの様子を見て、配球を変える。」

これがリードの根本的な考え方なんですけど、
言葉以上に体現化するのがむずかしいんですよ。

実際に巨人の大城選手は、失礼を承知ですが、まったくできてませんでした…。

甘いストレートを見逃してるのに、つぎに変化球を要求してましたからね。

普通に考えて狙い球なら初球からでもガンガン来るソフトバンク打線が、
甘めのストレートを見逃したってことは狙ってないってことです。

ストレートを続ければバッターを早く追い込めたのに、
なぜか変化球を要求して、思いっきりフルスイングされてました。

これは大城選手のリードが下手というよりも、
日本一をかけた戦いのプレッシャーが平常心を奪ったのだと思います。

でも、そんななかでも甲斐拓也選手は冷静に相手バッターを観察し、
打てないボールを徹底的にピッチャーに要求しつづけました。

甲斐拓也選手はリードが決して下手なのではありません!

むしろ相手のバッターを観察し、打たれにくい配球を組み立てる、
そんな本物のリードができるキャッチャーなのです!

甲斐拓也選手は歴代の名捕手に肩を並べるキャッチャーへ

甲斐拓也選手のリードについて私なりの見解をお話しました。

ペナントレース中の甲斐拓也選手のリードを見て、
下手くそだと思われた方もいるからもしれません。

でも、リードの良し悪しはトータルで判断すべきだと思います。

結果的に甲斐拓也選手がリードしたソフトバンクの投手陣の成績は、
投手陣そのものの力もありますが、防御率、被本塁打率の低さは12球団でNo. 1の成績でした。

また、日本シリーズは甲斐拓也選手のリードで、
ソフトバンクはかなり有利な試合展開をできたと言っても過言ではありません。

私個人的には、甲斐拓也選手が引退し、数年後経ったときには、
歴代の名捕手に肩を並べるキャッチャーになってると思います。

Twitterをフォローして最新情報を受け取る